自死遺族支援のためのシンポジウム ―支援のための提言―

自死遺族支援のためのシンポジウム開催に当って

NPO法人自殺防止ネットワーク風   
理事長 篠原鋭一   

ここ10年余、日本では自殺者が毎年3 万人を超えるという事態になっており、社会問題化していますが、この問題の裏側に潜む自死遺族の存在がそれ以上に深刻な社会問題となっています。自死遺族のうち、死にたいと考えている人が4人に1人とも言われています。
統計がないものの自死遺族の数は国内で300万人を超えるものと推測されております。
私のお寺も自死ご遺族の方にお出でいただいて、1 年経った方もいらっしゃいますし、5 年経った方もありますし、10 年お付き合いしている方もいらっしゃいますし、15 年お付き合いしていらっしゃる方もいらっしゃいますけれども、とてもとても人ごととは思えません。こうした自死遺族の方々と如何向き合い、如何接し、如何支援の手を差し延べることができるか。自死遺族の方々が「生きやすい社会環境づくり」が私達の大きな課題といえます。この度、当法人では千葉県のご理解、ご協力を頂き「自死遺族支援のためのシンポジウム」を開催いたすことになりました。
 本日は自死問題において日本を代表するお二人の先生をお招きし、この自死遺族に関わる諸問題を皆様と共に考えてまいりたいと思っております。
鈴木康明先生は東京福祉大学で心理学部の教授として、「グリーフ&モーニング」の研究をされ「死の教育」という講義を実践されております。本日は「自死遺族に寄り添う」という題目でご講義いただきます。
南部節子先生はNPO法人全国自死遺族総合支援センター事務局長でいらっしゃいますが、ご自身自死遺族としての体験、経験からのお話を頂戴すると共に、NPO法人において全国の自死遺族の方々と繋がり多岐にわたる諸問題解決に向け活動されております。
本日は「自死で家族を亡くした経験から伝えたいこと」という題目でご講義いただきます上でご助言を頂きたくお願いいたしました。
お二人の本日のご講義を私自身も拝聴いたしまして、私の心にあります問題を解放できる条件とは何かということを学ばせていただきたいと思っております。
なお、お二人のご講義の後、私がコーディネーターとなりまして先生方への質疑応答、自死遺族の諸問題についての討議を予定いたしておりますので、そちらの方にもご参加下さい。

それではこれより、鈴木康明先生、南部節子先生から続けてご講義を頂戴したいと思います。

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