自死遺族支援のためのシンポジウム ―支援のための提言―
(前頁つづき D) 第1部■自死遺族に寄り添う“グリーフ&モーニング” 講師:東京福祉大学・大学院 教授 鈴木 康明
自死遺族について
※参考 自死遺族について
■自死遺族の特徴
-親しい人の思いがけない喪失
-もしかすると亡くならなかったかもしれない
-死の事実に自分がかかわっているかもしれない
-自分もそうなるかもしれない
PTSD の遷延化 故人を想起して苦しんで泣く、
故人の夢を見て苦しむ 記念日反応など |
そして二つ目。もしかすると亡くならなかったかもしれない。何故か。自分がしっかりしていればとか。
死の事実に自分が関わっているのではないかと思ってらっしゃいますね。そしてもしかすると自分もそうなってしまうんじゃないか。苦しいですよねという人。
記念日反応とか、言葉にしてしまえばたったこれだけですよ。私達にとって、とっても大切なイベントこそが苦しめてしまっている。併せて、子ども達が、理由は勿論分かりませんよ。
何故か第一発見者になるとか。子ども達の語りです。
それからお母さんが親戚のおばさんに怒られている。「あなたがしっかりしないからあの人死んじゃったのよ」と言われているのを子どもはじっと見ている。これどう思われます。せめて子どものいないところでできないんでしょうかね。そして、「このことを誰にも言ってはいけない。聞かれたらね、『病気で死んだ』って言いなさい。誰にも言ってはいけない」。
嘘ついて生きていけって言われている訳ですよ。徹底的に強制されていますね、いろんなことをね。だから、子ども
達にも語る場があっていいんじゃないですか。これ先程の自死遺族と関わるところなんだけれども、よりストレートですね。子ども達の気持ちとして「捨てられちゃった」とか、「防げなかったとか」とか。チョッとママの帰りが遅いと最悪のことを考えちゃう。ママもどこかで死んじゃっているんじゃないか。自分もそうなっちゃうんじゃないか。大人と重なる部分もありますけれども、子ども特有な部分もあるんですね。
そろそろまとめに入らないといけないですね。
じゃあですね、グリーフケアって一体何なんだろうか。もしですね、ケアに技術があるとすれば、私はこんなことを考えています。先ず、ご自分ですね。関わっている私達がどの程度ご自分のことに気付いていらっしゃるか。例えば、過去の喪失、どうなってらっしゃるか。それから、今現在抱えている個人的な問題、どうなってらっしゃるか。身体的なものも、経済的なものも、人間関係も含めてどのくらい、ここ良く聞いて下さいね。気付いていらっしゃいますかということなんです解決してらっしゃいますか、なんてことは誰にも言えません。そんなこと言ってはいけないと思うんですが、少なくともご自分の気付きがどうなってらっしゃるか。これが1点。それから2点目。今日こういう時間を頂きましたので、私なりにグリーフのお話をいたしました。ご理解いただけたと思います。
グリーフケア
■かかわるあなたが振り返ること
・自分の状態に気づいていますか?
過去の喪失や、個人的な問題など
・グリーフについて理解していまか?
・自分の行動の癖に気づいていますか?
相手にもっている感情や、接し方など
・自分の弱点に気づいていますか?
苦手な人や話題、感情的になりやすい
話題など |
そして三つ目。ご自分の癖、如何ですか。これどういうことかって言われますので次と合わせて考えて下さい。ご自分の弱点いかがですか。 例えば、どんな人が嫌いですか。どんな人が苦手ですか。如何いう話題が辛いですか。如何いう事柄が聞きたくないですか。 チョッと、方向も異なるところあると思うんですよ如何いう人が好きですか。如何いう事柄が得意ですか。如何いうお話だと身を乗り出して聞きたくなりますか。ご自分の癖にどのくらい気付いていらっしゃいますか。 私が南部さんとやっている研修なんかもここなんですね。どのくらいご自分のこと分かっていらっしゃるのかな。そういう研修をしましょうということで、やっていく訳です。
でないと、二次的被害が出ちゃうんです。こんな人達に言わなければ良かった。こんなところに来なければ良かった。これは絶対防ぎたい。ただでさえ苦しんでらっしゃる方をまた苦しめてはいけないんです。非常に難しいことなんです。
だからこそ、この辺から抑えていきたい。関わる私がどの程度自分のことに気が付いているか。もし、ですからね、ケアがあるとすればこういうことなのかなと私思っております。
それからですね、ケアの中ではこんなことをご遺族の方にお願いしています。言葉にはしません。私が心の中でお願いしてます。どうぞ亡くなったってことを理解しましょう。だから、死んだ人、どこに行っちゃったんですか。それは分かるけども、先ず亡くなったってことを理解していきましょう。だから、それはあなたの中にいらっしゃるかもしれないしね、ということなんですよ。それから気持ちですね、とくにネガティブな部分、こういう発言って周りは抑えちゃいますよ。恐れとか、悲しみとか、衝撃とか、否定とか、嫌悪感とか、敵意とか、憎しみとかですね。こういう表現をすると周りは抑えちゃいますよ。
■ご遺族の方へ心のなかでお願いすること
・亡くなったということを理解して
いただけませんか
・亡くなった方についての気持を、
正直に感じていただけませんか
恐れ、悲しみ、衝撃、否定、罪悪 etc
・また感じたものを素直に表現して いただけませんか
・なによりこれからも亡くなった方を
愛し続け、ともに人生を歩んでいって
いただけませんか |
そうじゃない、自由にお話してかまわないんです。何よりも、亡くなった方を愛し続けて共に人生歩んで行っていただきたいなと勝手に思います。 これをお願いして、言葉になんかしません。何時もこう思って会に顔出させていただいてます。この辺具体的ですよね。 ご遺族の方ですよね、多いです、こういう発言。「私って変ですよね。俺っておかしいですよね」。おかしくない。
これはちゃんと言います。
悲しい体験の跡に心身が変化したり、動揺することは当たり前。全然おかしくない。
■ご遺族に伝えましょう
@自分はおかしいのではないか??
悲しい体験のあと、心身が変化したり
動揺することはあたりまえ
Aもうどうなってもいい!
やけをおこしたり、混乱している時、
投げやりになって何かを決めない
Bみんなどうせ私のことなんか、、、、、
自分が思っている以上に、周囲の人は
あなたを支えたいと考えている
でも、その人たちもどうしたらよいか
わからない
C不規則になりやすいので、
規則的な生活を心がけてほしい
→ 自己コントロール感の再構築
D気晴らしは? 趣味は? 好物は?
→生きがい、目標を見つける手助け |
それから2点目。これも良く言います。 もうどうなってもいい。ここは難しいですよね。その方の人生だから。でも言うことあります。「あなたね、今決めないほうがいいよ。混乱している時に、やけを起こしている時に、投げやりになっている時に、決めない方がいいよ。これだけは聞いてね」
ここはもう言葉にしてちゃんと言うべき。
離婚する、引っ越しする、学校をやめる、今はしない方がいいよ。それだけは言わせてね。分かるよね、ということは言います。
「でも、どうせきっと皆、私のことなんか」矛盾するんですね。関わってもらいたいんだけど、でてくる言葉はこうですよね。ここも悩ましいですね。 「だって、私達何かできる訳でもありませんから正直に言います。あなたが思っている以上に、私あなたを支えたいんだけれどごめんね。どうしていいか分からない、教えて、一緒に考えて、それしかできない」。何をそんなに情けないことなんてと思う方は今日来てないと思います。そこがベースになってきます。
C番、D番はですね、悲しみもね、あなたの一部なんだよね。そこに気付いてもらいたい。
ゆっくりいきます。これいきなり言っても聞きやしませんから、ゆっくり行きます。悲しい、悲しい、それもそうなんだけど、それもあなた一部なんだよね。あなたにはそうでない部分もあるよね。 以上留意点になります。
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